盗聴・盗撮の恐怖 ①~④盗聴・盗撮の恐怖2003年8月1日(金曜日)追加 更新 ノンフクションストーリー 「今そこにある機器(危機)」 その④ ニュースによると、「足立区に住む28歳の男性が建築物不法侵入で逮捕された。目的は、盗聴機を仕掛けるためだった」。 このような女性週刊誌の記事を他人事としてながめていた深澤洋子さん(24歳仮名)。彼女はある雑誌の文通募集がきっかけで付き合っていた彼が、思い出にと撮った秘密の写真やビデオの存在が気にかかり「盗撮機なども仕掛けられているのでは?」と思い、相談に訪れた。 話を聞くと、撮った写真やビデオの量は軽くアルバム数冊分だった。投稿雑誌やセルビデオとして流通させられている可能性も考えられるため、徹底調査をすることになった。 彼がほんの数週間まで、週2回、火曜日と金曜日に決まって訪れていた深澤さんの部屋はバスユニットとトイレが別々のつくりのちょっと広めのワンルーム。調査開始と同時に2波の不信電波が検出された。調査員は、2波あった電波の発信源特定に全力を挙げた。深澤さんの顔色は見る見る青ざめた。 調査の結果、トイレのスプレー式芳香剤とバスルーム前、脱衣所の洗面台、下部からのものだった。巧妙に仕掛けられ機材と手口は趣味の域を脱しており、明らかにプロの犯行とみられた。これらの経緯により、盗聴されたソフトは一般流通を目的とされたことを裏付ける。 このところ、投稿雑誌やセルビデオ業界に流通しているいわゆる盗撮ものやダイヤルQ2などの有料電話回線を使った盗聴番組などに、このような一般人をターゲットにする傾向があり、ビジネス化しているようだ。 「事実」を知ってしまった深澤さんは、現在、付き合っていた彼の告訴を準備しているが、流通したであろうビデオや写真は回収することが出来ず、心に深い傷を負ってしまった。 2003年7月1日(月曜日)追加 更新 ノンフクションストーリー 「今そこにある機器(危機)」 その③ 世田谷区の一般分譲住宅に住む亀田幸子さん(仮名)は、結婚6年目のある日、突然夫から離婚を言いだされ途方にくれていた。 幸子さん自身にはまったく問題がなく、また、思い当たることもないのでどうしてよいかわからずオロオロするばかりだった。 実際夫にその理由を訪ねても具体的なことは何ひとつ教えてくれず、最後には「そのうち証拠を見せてやる」といって話を終わらせ書斎に引きこもるのだった。 自分の実家に相談しても亭主関白の父親はまるで幸子さん自身に問題があると思いこんでいるらしく、ただ「お前が悪い、とにかく謝れ!」 の一点張りで、何の解決の糸口にもなりそうもなかった。 しかし、従順を装いつつ結構したたかな母親だけはむしろ夫の方に後ろ暗いところがあるではないかと疑っているらしく、今では唯一の味方となってくれている。 結論をその日その日延ばしにしていた幸子さんは、珍しく夕食時に帰ってきた夫から出た言葉に愕然とした。 母親との電話で、つい口にした夫の悪口を彼はなぜだか知っていたのだった。 幸子さんはふと思い立ってすぐ盗聴器の捜査を業者に依頼したところ、簡単に電話機から盗聴器が見つかった。さらに寝室とリビングの電灯からもタイプの違う盗聴器が見つかり、家中のほとんどの出来事が盗聴されていたことがわかった。 その後の調停で、夫が他に女が出来たので離婚を言い出したことと、盗聴器は、少しでも離婚を有利に運ぼうと幸子さんの落ち度を探るために仕掛けた物であることが判った。書斎のラジオが盗聴器の受信周波数に合わせたままの状態で見つかったことが決め手になった。 2003年6月16日(月曜日)追加 更新 ノンフクションストーリー 「今そこにある機器(危機)」 その② 神奈川県相模原市。区画整理事業が進もうとしている、その中心にある「盗聴バスターズ」のオフィスに駆け込んで来たのは、6名の社員を抱え、土地・物件の売買を中心に手がけている不動産会社の馬場さん(54才、仮名) 区画整理に絡み、関連した土地や物件が盛んに行われ、勢い馬場さんも忙しくなってきた。しかし、販売に絡む見積もりや鑑定で、競争相手の会社に僅差で仕事を取られることが相次ぎ、ライバル会社の出した数字に疑問を抱いていた。 「ひょっとして社内にスパイがいるのではないか????」 そう思った馬場さんは、社員のちょっとした言動にも注意を払うようになってしまった。当然それは他の社員にも伝染していき、社内の雰囲気は殺伐としたものになっていった。 思いきって社員全員を集め、思いのうちを相談という形で話し始めたところ、中堅社員の一人から、テレビで見た盗聴器のことを思い出し「社員同士の信頼関係を取り戻すためにも、一度調査をした方がいいのでは。」との意見が出された。 結果は電話本体の盗聴ではなく、社外の電話機の保安機内、しかも、素人では困難なFAXの送受信信号の盗聴でいつから設置されていたかは不明だが、思い当たる時期から見ても半年近く、会社の情報が漏洩していたことになる。 この間の被害額は下手をすれば億単位にもなってしまう。明らかにその手のプロの手口といえるものだった。 調査以来、社員同士の結束は、以前よりも強固なものになりその後の業績はもともと地元に顔の広い馬場さんのこともあり、かえって月次売上は盗聴されていたと思われる時期より大きくなっている。 盗聴防止の方法 FAXにノイズが入るようになったら注意。 屋外の電話の保安器が触った跡があれば、(汚れがなく拭きとった跡など)注意が必要 記事のようなことがあれば、盗聴を疑ってみる。 次回を楽しみに、どうぞ ノンフクションストーリー 「今そこにある機器(危機)」 その① 『盗聴ストーカー』 東京都小金井市に住むOLのK子さん(23)は、丸の内の大手旅行代理店に勤めている。 仕事柄、繁忙期には帰りが遅くなることもあり、帰りの方向が同じ営業部のHと、会社の手配するタクシーに同乗して帰宅することもあった。 そんなある日、Hから 「K子さん失恋したんじゃない?営業部のYは女好きだからな。」 と言われドキッとした。電話で喧嘩したのは昨晩のこと。まして、社内でYと付き合っているのは誰も知らないはずだったからだ。 またある時には 「田舎のお母さん元気?」 と聞かれたこともあった。この前日には偶然にも田舎から母が風邪をこじらせ入院したと電話があった。 何度かこのようなタイミングで話かけてくるHに不審を感じたK子さんは、婦人雑誌で読んだ 「コードレス電話の子機の盗聴」のことが気になり電話は親機だけを使うことにした。 しかし、相変わらずHは絶妙なタイミングで話しかけてくる。気味が悪くなったK子さんは、「自分の気のせいだ」と確認するためにもと思い自分の部屋を調査してもらうことにした。 はたして、確かに電話機には異常はなかったが、十数個の小さなぬいぐるみから盗聴器が次々と発見された。 「ゲーム機で取ったからあげるよ。」 何かにつけて成果を誇るようにもらったぬいぐるみはどうやら電池の寿命に合わせて準備していたらしい。 |